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手の持つ力は無限。タクティール・ケア

Q,介護の仕事を最近はじめました。認知症の患者さんに最適なケア方法を知りたいです。

A,『手の持つ力』は無限大。『タクティール・ケア』を始めてみませんか?

スウェーデン発祥のタクティール・ケアは、手を用いて10~20分間、相手の背中や手足を『押す』のではなく、皮膚に柔らかく触れることで不安やストレスなどを和らげる認知症緩和ケアの1つです。

痛みの緩和や認知症での精神的につらい思いをされている人へのアプローチに使われるなど介護の様々な場面で使う『ツール』になっています。

『タクティール』とはラテン語の『タクティス』に由来する言葉で『触れる』という意味です。その名の通り、手を使って10分程度、相手の背中や手足を『押す』のではなく、やわらかく包み込むように触れます。
また、非言語コミュニケーション方法の一つとして有効に活用できるケアです。認知症の人の心身の様々な症状の緩和を目的とした活用ができます。

タクティール・ケアには、特別な道具は必要ありません。

必要なのは『手』のみです。手の持つ力は無限大です。触れ方次第で相手に与えるものが異なります。手の持つ力を再確認していきましょう。

◆◇タクティール・ケアの原点◇◆

タクティール・ケアの原点となる手法である、認知症緩和ケアは1960年代にスウェーデンで未熟児のケアを担当していた看護師らによって始まりました。

その理念は
・本人を中心とした症状をコントロール
・認知症の人の家族への支援
・互いを尊重するチームワーク
・本人が望むコミュニケーション方法によってよい関係を築く
上記の4本柱です。

認知症緩和ケアは、現在では様々な場面で応用されています。タクティール・ケアもその一つです。

タクティール・ケアは認知症の様々な症状を和らげるということで注目され、日本でも広がりました。健康な人から治療やケアが必要な方まで、すべての人たちに適用できるケアとなります。

日本には2006年に、株式会社日本スウェーデン福祉研究所(Japan Sweden Care Institute)によって、同じくスウェーデン発祥の認知症緩和ケア理念とともに紹介され、これまでに約1万人がタクティール・ケア講座を受講しています。

介護の現場や、一般家庭での家族のケアなどの活用の場も広がっています。

昨今の介護業界ではタクティール・ケアの認定資格も受講を推奨されており、介護を行う上では重要視されているケアの一つです。

◆◇タクティール・ケアの効果◇◆

タクティール・ケアを行うと下記のような効果が見られます。

《受けた人の効能》

・穏やかな気持ちを体感できる
・身体がぽかぽかと温かくなる
・心地よい睡眠や深い呼吸ができるようになる
・コミュニケーションがとりやすくなる
・攻撃性や自虐性が減少する
タクティール・ケアはオキシトシトシンの分泌やゲートコントロールの観点から、心地よさや安心感、痛みの軽減をもたらす効果があります。

安心を感じるのは脳の視床下部後葉から下垂体に直接軸索をのばして投射するホルモン『オキシトシン』が分泌されるためです。

『オキシトシン』は『安心と信頼のホルモン』『愛情ホルモン』とも呼ばれています。不安やストレスを和らげるホルモンなので、多く分泌されることでより一層相手に安心感を与えることができます。

ゲートコントロール理論とは触覚や圧覚が痛みを抑制するメカニズムに関する学説です。

怪我をしたときなどにとっさに手で押さえたことはありませんか?痛みを感じたときにその痛みの部分の周辺に触れることで、触覚による刺激が起こり、痛みを感じさせる経路を阻害するため、痛みを和らげているのです。

痛いと感じていても、別の刺激があると鋭い痛みが鈍い痛みに変わってくるのです。
脊髄には痛みを脳に伝えるゲートがあります。ゲートが開いていれば、痛みを脳に伝え、痛みを感じますが、反対に閉じていれば、痛みを脳に伝えることはできません。人は無意識にゲートコントロールをしているのです。
タクティール・ケアにより心地よさや安心感がうまれるのでゲートが閉じられるために、痛みが軽くなったように感じるのです。

そして、認知症の方に毎日繰り返すことで認知症の症状を和らげることができるとも言われています。
身体の認識や自己意識の向上など、身体的・精神的に効果がみられるため、介護業界でも注目を集めています。

また、タクティール・ケアは受けた相手だけでなく、行っている本人にも下記のような効果が見受けられます。

《行う人への効能》

・自分自身の気持ちも穏やかになる
・心と心の交流が実感できる
・自分も優しい気持ちになれる
・親密性、信頼関係が高まる
相手に安心してもらえる為、自分を認めてもらえている気分になり、自分の気持ちも穏やかかつ安心することができます。触れたところから相手の温もりや自分の温もりを知ることができ、自分自身も安心します。
お互いが穏やかな気持ちになるがゆえに、信頼関係も築けるので介護の中に取り入れてみることをお勧めします。

しかし誰もが皆望んでいるとは限りません。

触れられたくない人も必ずいるので、相手へ許可を得たうえで取り入れていきましょう。

◆◇タクティール・ケアの方法◇◆

人が触れるということは人間にとってとても大事なことであり、生きる力を養う上でもとても大切なことだと考えられています。

まず、始める前に自分の両手をこすり合わせる、もしくはお湯で手洗いするなどをして温めておきましょう。冷たい手では、相手を反射的に委縮させてしまいます。

まず、手や足、背中に優しく触れます。手ならば指先までにきっちりと触れて形を伝えます。背中の場合は、背中から『あなたの背中の大きさはこれくらいあります』と触れながら、教えてあげるなどボディイメージをもってもらえるように行います。

タクティール・ケアはマッサージのようにも見えますが、マッサージとは手法が異なり、手のひらがまんべんなくピタッと触れた状態で一定の速さでゆっくりと触れるのが特徴です。

ケアの始まりから終わりまで施術者の手が施術部位から離れないようにしましょう。

それからマッサージとは逆に、中枢から抹消へ向かって優しく撫でるように触れていきます。

注意したいことが必ず素手で行うことです。手袋などを使用して触れるのは、人の体温を感じることも難しくなりタクティール・ケアの本来の目的は異なってきてしまいます。また、汚いモノを触れているとイメージも持たれる可能性があります。
タクティール・ケアを行う際には必ず本人に確認を取り、了承を得てから行ってください。望まない人に対して相手に不快感しか与えません。

また、開始時には『これからタクティール・ケアを始めていきますね。手から触れていきますね』と伝えた上で話しながら行いましょう。終了時には『ありがとうございました』と伝えることで相手に敬意を払いましょう。

不安や緊張感を相手に与えてしまっては本末転倒。最初から最後まで相手に安心感を与えるケアを行いましょう。
今回はタクティール・ケアについて紹介しました

介護においてケアの方法は多種多様です。福祉大国と言われているスウェーデンでも、まだ完全に行うべきとされている介護の方法は見つかっていません。

それは、人には個性があり感情があります。一人ひとり望むケアも違います。

その人が一番安心する介抱する方法を、様々な視点から考えて実践してみてください。

千葉県では住み慣れた施設で心地よい介護を受け、最後まで穏やかな療養生活が送れるように『介護スタッフのための緩和ケアマニュアル』を千葉県庁のホームページで掲載しています。参考にされてみてはいかがでしょうか。
千葉県庁ホームページ『介護スタッフのための緩和ケアマニュアル~がん患者さんとご家族が心穏やかに過ごせるように~』

介護をする上で一番大切なことは、相手に安心感を与え、信頼関係を築くことです。

様々なケアの方法を実践して、相手に寄り添ったケアを行っていきましょう。

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